25. Bhikkhu-vagga 修行僧 (比丘の章)
bhikkhu: m. [bhikkh-u] 比丘, 苾芻, 乞者, 乞食者
√bhikkh(a): [Sk. bhikṣ] 乞求, 乞食
-u: 名詞・形容詞を形成する*1
vagga: m. 群, 品, 章
360.
Cakkhunā saṃvaro sādhu, sādhu sotena saṃvaro,
眼によれる 慎みは 善き 善き 耳によれる 慎みは
ghānena saṃvaro sādhu, sādhu jivhāya saṃvaro.
鼻によれる 慎みは 善き 善き 舌によれる 慎みは
(眼によれる慎みは善し。耳によれる慎みは善し。鼻によれる慎みは善し。舌によれる慎みは善し。)
眼(まなこ)について慎むのは善い。耳について慎むのは善い。鼻について慎むのは善い。舌について慎むのは善い。
cakkhunā: cakkhu の ins. sg.*2
cakkhu: n. 眼, 目
saṃvaro: saṃvara の nom. sg.
saṃvara: m. [saṃ-var-a] 防護, 律儀, 摂護
saṃ-: =sam- pref. 共に, 沿って, 充分に, 完全に*3
√var(a): [Sk. vṛ] 抑制する, 覆う
-a: 名詞・形容詞を形成する*4
sādhu: a. adv. interj. [sādh-u] 善き, 善良の, 善人, 善く; 善い哉, 善哉, 何卒, どうぞ, 幸甚なり
√sādh(a): 成功, 達成
sotena: sota の ins. sg.
sota: n. [su*5-ta] 耳
√su: 聞く
-ta: 名詞を形成する*6
ghānena: ghāna の ins. sg.
ghāna: n. [ghā-na] 鼻
√ghā: [Sk. √ghrā] 匂う, 嗅ぐ
-na: 名詞を形成する*7
jivhāya: jivhā の ins. sg.*8
jivhā: f. 舌
361.
Kāyena saṃvaro sādhu, sādhu vācāya saṃvaro,
身によれる 慎みは 善き 善き 言葉によれる 慎みは
manasā saṃvaro sādhu, sādhu sabbattha saṃvaro,
心によれる 慎みは 善き 善き 一切処に 慎みは
sabbattha saṃvuto bhikkhu sabba-dukkhā pamuccati.
一切処に 慎める 比丘は 一切苦より 脱す
(身によれる慎みは善し。言葉によれる慎みは善し。心によれる慎みは善し。一切処に於ける慎みは善し。一切処に慎める(己れを悪より庇へる)比丘は一切の苦より脱す。)
身について慎むのは善い。言葉について慎むのは善い。心について慎むのは善い。あらゆることについて慎むのは善いことである。修行僧はあらゆることがらについて慎み、すべての苦しみから脱れる。
kāyena: kāya の ins. sg.
kāya: m. 身, 身体, 集まり
vācāya: vācā の ins. sg.*9
vācā: f. [vac*10-ā] 語, 言
√vac(a): 語, 言
-ā: 女性名詞を形成する*11
manasā: manas の ins. sg.*12
manas: n. [man-as] 意, 心
√man(u): 思う, 考える, 見なす, 誇る, 知る
-as: 名詞を形成する*13
sabbattha: adv. [sabba-tha*14] 一切処に
sabba: a. n. 一切の, すべて, 一切のもの
-tha: 場所を表す副詞を形成する*15
saṃvuto: saṃvuta の nom. sg. m.
saṃvuta: a. [saṃ-vu の pp.]*16 防護せる, 制御せる; 閉じたる, 結べる
√vu: [Sk. vṛ] 抑制する, まもる
sabba-dukkhā: sabba-dukkha の abl. sg.
dukkha: a. n. [dukkh-a] 苦, 苦痛, 苦悩
√dukkh(a): [Sk. duḥkha] 苦, 苦痛, 不快, 困難, 不安
pamuccati: pamuñcati の pass.*17
pamuñcati: [pa-muñcati] 脱す, 解脫す, 出す, 放つ; 捨つ, 自由にす
pa-: pref. 前に, 先に, 強意. 始動を意味する*18
muñcati: [√muc(a)]*19 脱す, のがれる, 自由になる, 放つ (言葉を)