282.
Tato palāpe vāhetha assamaṇe samaṇa-mānine,
其後 籾殻共を 逐へ 非沙門共を 沙門と慢心せる
niddhamitvāna pāp'icche pāp'ācāra-gocare.
吹き払ひて 悪を欲せる 悪しきに通へる
(その後に、自らを沙門と慢心せる沙門にあらざる籾殻どもを逐(お)へ。悪を欲し悪しき処に通へる者どもを吹き払いて。)
ついで、実は〈道の人〉ではないのに〈道の人〉であると思いなしている籾殻どもを除き去れ。──悪を欲し、悪い行いをなし、悪いところにいるかれらを吹き払って。
tato: adv. [ta の abl.] それより, それ故に, その後
ta: pron. それ
palāpe: palāpa の acc. pl.
palāpa: m. もみがら
vāhetha: vāheti の imper. 2pl.*1
vāheti: [vahati の caus.]*2 運ばせる, 運ぶ
vahati: [√vah(a)] 運ぶ, 運搬す, 運載す; 実行す
√vah(a): 運ぶ, 持って来る, 運び去る, 持ち去る
assamaṇe: assamaṇa の acc. pl.
assamaṇa: m. [a-samaṇa*3] 非沙門
a-: pref. 否定を示す. 無, 非, 不
samaṇa: m. [sam-ana] 沙門
√sam(u): [Sk. śram] 勤息
-ana: 名詞・形容詞を形成する*4
samaṇa-mānine: samaṇa-mānin の acc. pl.
mānin: a. [man*5-in] 慢心ある, 誇りをもつ
√man(u): 知る, 思う, 考える, 見なす, 誇る
-in: 所有形容詞を形成する*6
niddhamitvāna: niddhamati の ger.*7
niddhamati: [ni-dhamati*8] 消除す, 除去す, 捨てる
ni-: 外に, 前へ, 下に, 中に, 下方に, 中で, 下で*9
dhamati: [√dham(a), Sk. dhmā] 吹く, 鳴らす, 火を吹く
pāp'icche: pāp'iccha の acc. pl. m.
pāp'iccha: pāpa*10-iccha 悪欲の
pāpa: a. n. 悪き, 悪, 悪人
iccha: a. [<is] 欲せる
pāp'ācāra-gocare: pāp'ācāra-gocara の acc. sg. m.
pāp'ācāra: [pāpa*11-ācāra] 悪行
ācāra: m. [ā-car*12-a] 行, 正行, 浄行
ā-: pref. へ, で, に向かって, の近くに, までに, の限り, から離れて, じゅうに*13
√car(a): 行く, 動く, 彷徨う, 行ず
gocara: m. [go-car-a] 行境, 行処, 範囲, 親近処
go: m. 牛, 牡牛
283.
Suddhā suddhehi saṃvāsaṃ kappayavho patissatā,
清き者等は 清き者等と 共住を 為せ 心しらひて
tato samaggā nipakā dukkhass'antaṃ karissathā ti.
其後 和合せる 賢者等は 苦の/終極を 成す也 と
(清き者らは清き者らと心しらいひて共に住み為せ。その後には和合せる賢者らは苦の終極を成すなり、と。)
みずからは清き者となり、互いに思いやりをもって、清らかな人々と共に住むようにせよ。そこで、聡明な者どもが、友に仲よくして、苦悩を終滅せしめるであろう。
suddhā: suddha の nom. pl. m.
suddha: a. [sujjhati の pp.]*14 浄き, 清浄の, 純粋
sujjhati: [√sudh(a), Sk. śudh]*15 浄まる, 清まる
suddhehi: suddha の instr. pl. m.
saṃvāsaṃ: saṃvāsa の acc. sg.
saṃvāsa: m. [saṃ-vas*16-a] 共住, 同住, 性交, 親交
√vas(a): 住す, 存す
-a: 名詞・形容詞を形成する*17
kappayavho: kappeti の imper. mid. 2pl.*18
kappeti: [√kap(u)]*19 なす, 営む, 整える, 準備する
patissatā: patissata の nom. pl. m.*20
patissata: =paṭissata a. [paṭisarati の pp.]*21 憶念せる, 記憶せる
paṭisarati: [paṭi-sarati] 追憶す, 憶念す
paṭi-: pref. prep. 反対に, 戻して, 逆方向に, 戻って, 返して, 向かって, 近くに*22
sarati: =sumarati [√sar(a), Sk. smṛ] 記憶す, 憶念す
√sar(a): [Sk. smṛ] 念ずる, 熟慮する, 喜ばせる, まもる, 生きる
samaggā: samagga の nom. pl. m.
samagga: a. [Sk. samagra] 和合せる, 統一の
samagra: a. 全て, 全体, 皆, あらゆる
nipakā: nipaka の nom. pl. m.
nipaka: a. m. 賢明の, 慎重なる, 智者
dukkhass'antaṃ: dukkhassa*23 + antaṃ
dukkhassa: dukkha の gen. sg.
dukkha: a. n. [dukkh-a] 苦, 苦痛, 苦悩
√dukkh(a): [Sk. duḥkh] 苦, 苦痛, 不快, 困難, 不安
antaṃ: anta の acc. sg.
anta: m. 終極, 目的, 極限, 辺, 極端
karissathā: =karissatha*24
karissatha: karissati の 2pl.*25
karissati: karoti の fut.*26
karoti: [√kar(a), Sk. kṛ]*27 なす, 行う, 作る