蓮華草のブログ

ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。(中村元訳『ブッダの真理のことば・感興のことば』岩波文庫)

雑感

身近な社会主義と共産主義

「ノルマ」はロシア語で、シベリア抑留から引き揚げてきた人々によって伝えられた言葉。たとえば上場企業が四半期ごとに成果を求められるのは事実上のノルマであろう。計画経済を実現するにはノルマの達成が必要になり、旧ソ連ではノルマを達成できなかった…

ダンマ信仰と日本文化

大乗仏教のご本尊は宗派によってお釈迦さまであったり阿弥陀如来であったり大日如来であったりするが、仏教本来の本尊的なものは「ダンマ」であり、これを瞑想により一切の主観性や恣意性を排し己れを無にして覚った者をブッダと呼ぶ。仏教徒もインド人口の…

「おおやけ」に宿る言霊 (ことだま)

台湾人で司馬遼太郎の通訳を務めた蔡焜燦さんは、「『おおやけ』の概念を日本人から教わった」と言っていた。これは奇妙な話で、台湾にも「公」の文字は当然ある。それなのにその概念を日本人から教わったとはどういうことか。日本語の「おおやけ」の語源を…

まとわり ~ 集団ストーカーの二側面と自由の剥奪

これは元警察官で「捜査するジャーナリスト」として活躍されていた黒木昭雄さんが著書で書いておられたことだが、昔はしばしば警察の不祥事が週刊誌等への内部告発などによって明るみに出て世間を騒がしていた。しかしその後、内部告発をするとたとえ匿名で…

地道な破壊活動 #3 日本社会の地盤はなぜ液状化してゆくのか

「転職ブーム」という言葉が使われ始めたのは、ネットで調べるとリーマンショック以降のようだが、 一九八九年にはすでに以下のような転職を推奨するようなCMが放映されていた。この頃はバブル真っ只中で、終身雇用の維持が難しくなっているような時期ではな…

地道な破壊活動 #2 ガバナンスはなぜ崩壊するのか

一言で言ってしまえば組織的に動かないからだが、では組織的に動くとはどういうことか、至極当たり前のことを見ていく。なぜそんな当たり前のことをわざわざ書くのかというと、そのような当たり前のことが、今や当たり前ではなくなって来ているからだ。 その…

地道な破壊活動 #1 二重寸法の嵐はなぜ吹き荒れたのか

製図法の基本として、例えばある部品に一つ穴を開けるとして、全体寸法と左端からの距離を記入した場合は右端までの距離は入れないか、括弧でくくって参考寸法としなくてはならないことになっている(二重寸法の禁止)。こうしておかないと、作る側はどちら…

「自由」がもたらした混乱と、封建体制下の「自由」

「自由」は福沢諭吉の作った訳語と思っていたが、柳父章著『翻訳語成立事情』によると実はそうではなく古くからあった言葉で、これは禅僧が「とらわれの無い境地」の意味で「自由解脱」と表現するなどいい意味で使われている例はあってもそれは少なく、多く…

ダンマ ~ 仏は法をのみ敬う

パーリ語の「ダンマ」は、通常「法」「真理」などと訳される。最も意味が近いのは「法」と思われるが、法には決めごと(人が決めたこと)の意味合いがあるのに対して、ダンマにはそのような意味はなく、逆に決まりごと、不変のことわり、つまり客観的な真実…

田分けの制度 ~ 分割相続

江戸時代,農民が田畑を分割相続したこと。幕府諸藩が分地制限令を出したのは,こうした分割によって耕地が零細化し,担税能力が減少することを防ごうとしたものである。零細化して水呑百姓となるおそれがあるところから田分けするものを「戯け (呆け) 」と…

日本の「労働」観 ~ 働くことはよろこび

「働」の文字は国字(日本で作られた文字)で、中国では「働く」は「動く」、もしくは「工作する」と言い、日本では、もとからある「はたらく」の言葉を漢字で表すとき、「動」の代わりに、人が動くとして「働」とした。 「動」の文字は、その偏部のもとの文字…

日本の「仕事」観 ~ 日本人は「公」に仕える人々であった

「仕」も「事」も「つかえる」と読み、「仕」は「士」の文字が見られるように戦士階級が出仕すること、「事」はもとは神につかえることを意味し、後には王につかえることにも使われるようになり、前者を「大事」、後者を「小事」と呼んだ。日本人はもとから…