蓮華草のブログ

ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。(中村元訳『ブッダの真理のことば・感興のことば』岩波文庫)

日本の「労働」観 ~ 働くことはよろこび

 「働」の文字は国字(日本で作られた文字)で、中国では「働く」は「動く」、もしくは「工作する」と言い、日本では、もとからある「はたらく」の言葉を漢字で表すとき、「動」の代わりに、人が動くとして「働」とした。
 「動」の文字は、その偏部のもとの文字は (童) で、目の上に入れ墨をした奴隷を、「力」は耒(すき)を表し、耒を手にした奴隷が農耕にあたることを表わしている。西洋でもキリスト教では労働はアダムとイヴが禁断の果実を食べたことによって科された「罰」であると教えている。これに対して日本の神話では神々ですら働き、働くことは神事でもあり、額に汗して働くことは尊いこととされて来た。公に奉じてきた日本人にとって社会のために働くことはよろこびでもあった。