296.
Suppabuddhaṃ pabujjhanti sadā gotama-sāvakā,
よく目覚めて 目覚む 常に ゴータマの弟子達は
yesaṃ divā ca ratto ca niccaṃ buddha-gatā sati.
所の者の 昼夜に 常に 仏に向けられたる 念が
(ゴータマの弟子たちは常によく目覚め、その念は常に昼夜に仏に向けられたり。)
ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も常に仏を念じている。
suppabuddhaṃ: adv. suppabuddha の acc. sg.*1
suppabuddha: su- + pabuddha*2
su-: pref. よき, 善き, 良き, 妙(たえ)なる, 易き, 極めて
pabuddha: pabujjhati の pp.*3 目覚めたる
pabujjhati: [pa-bujjhati] 目をさます, 目覚めている
pa-: pref. 前に, 先に, 強意. 始動を意味する*4
bujjhati: =bodhati [√budh(a)]*5 覚る, 目覚む
pabujjhanti: pabujjhati の pl.
sadā: adv. 常に
gotama-sāvakā: gotama-sāvaka の nom. pl.
gotama: m. [Sk. BSk. gautama] 瞿曇, 喬答摩 [釈迦族の姓, 釈尊を指すこと多し]
sāvaka: m. 声聞, 弟子
yesaṃ: ya の gen. pl. m.*6
ya: pron. rel. 所のもの
divā ca ratto ca: 昼夜に
divā: adv. [diva の abl.]*7 日中に
diva: m. 日, 昼
ca: conj. と, そして, また
ratto: [ratta または ratti の loc.]*8 夜に
ratta: n. 夜 f. ratti, rattā
niccaṃ: adv. [nicca の acc.]*9 常に
nicca: a. 常の, 常住の
buddha-gatā: buddha-gata の nom. sg. f.
buddha-gata: a. 仏に向けたる
buddha: a. m. [bujjhati の pp.]*10 覚った, 目覚めたる, 覚知せる; 覚者, 仏陀, 仏
gata: a. [gacchati の pp.]*11 行ける, 達せる, 関係せる; 様子, 姿
sati: f. 念, 憶念, 記憶, 正念 nom. sg.
297.
Suppabuddhaṃ pabujjhanti sadā gotamasāvakā,
よく目覚めて 目覚む 常に ゴータマの弟子達は
yesaṃ divā ca ratto ca niccaṃ dhamma-gatā sati.
所の者の 昼夜に 常に 法に向けられたる 念が
(ゴータマの弟子たちは常によく目覚め、その念は常に昼夜に法に向けられたり。)
ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜もつねに法を念じている。
dhamma: [dhar-ma]*13 m. n. 法, 教法, 真理, 正義
√dhar(a): [Sk. dhṛ] 持す
-ma: 抽象名詞, 動作主名詞, 形容詞を形成する*14
298.
Suppabuddhaṃ pabujjhanti sadā gotamasāvakā,
よく目覚めて 目覚む 常に ゴータマの弟子達は
yesaṃ divā ca ratto ca niccaṃ saṅgha-gatā sati.
所の者の 昼夜に 常に 僧伽に向けられたる 念が
(ゴータマの弟子たちは常によく目覚め、その念は常に昼夜に僧伽に向けられたり。)
ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も常にサンガ(修行者のつどい)を念じている。
saṅgha: m. 衆, 衆団, 僧伽, 僧, 僧団, 教団, 和合衆
299.
Suppabuddhaṃ pabujjhanti sadā gotamasāvakā,
よく目覚めて 目覚む 常に ゴータマの弟子達は
yesaṃ divā ca ratto ca niccaṃ kāya-gatā sati.
所の者の 昼夜に 常に 身体に向けられたる 念が
(ゴータマの弟子たちは常によく目覚め、その念は常に昼夜に身体に向けられたり。)
ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も常に身体(の真相)を念じている。
kāya: m. 身, 身体, 集まり
300.
Suppabuddhaṃ pabujjhanti sadā gotamasāvakā,
よく目覚めて 目覚む 常に ゴータマの弟子達は
yesaṃ divā ca ratto ca ahiṃsāya rato mano.
所の者の 昼夜に 不害を 楽しめる 心が
(ゴータマの弟子たちは常によく目覚め、その心は昼夜に不害を楽しめり。)
ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も不傷害を楽しんでいる。
ahiṃsāya: ahiṃsā の dat. sg.*15
ahiṃsā: f. [a-hiṃsā] 不害, 無害
a-: pref. 否定を示す. 無, 非, 不
hiṃsā: f. [hiṃs-ā] 殺, 害
√hiṃs(a): 害す
-ā: 女性名詞を形成する*16
rato: rata の nom. sg. m.
rata: a. [ramati の pp. ]*17 楽しめる, 愛好せる
ramati: [√ram(u)] 楽しむ, 喜ぶ
mano: manas の nom. sg.*18
manas: n. 意, 心
301.
Suppabuddhaṃ pabujjhanti sadā gotamasāvakā,
よく目覚めて 目覚む 常に ゴータマの弟子達は
yesaṃ divā ca ratto ca bhāvanāya rato mano.
所の者の 昼夜に 瞑想を 楽しめる 心が
(ゴータマの弟子たちは常によく目覚め、その心は昼夜に瞑想を楽しめり。)
ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も瞑想を楽しんでいる。
bhāvanāya: bhāvanā の dat. sg.
bhāvanā: f. [<bhāveti] 修習, 修, 修行
bhāveti: [bhavati の caus.]*19 あらしむ, 修習す, 修す
bhavati: [√bhū]*20 ある, 存在する