128.
Yo ve para-kulaṃ gantvā bhutvāna suci-bhojanaṃ
所の者 実に 他家に 行きて 食ひて 浄食を
āgataṃ na paṭipūjeti, taṃ jaññā vasalo iti.
来れるを 否 敬ふ 其は 知るべし 賤民 と
(実に他家に行き浄食を食ひて、来れる者をもてなすこと無き者。そは賤民なりと知るべし。)
他人の家に行っては美食をもてなされながら、客として来た時には、返礼としてもてなさない人、──かれを賤しい人であると知れ。
yo: ya の nom. sg. m.*1
ya: pron. rel. 所のもの
ve: adv. 実に
para-kulaṃ: para-kula の acc. sg.
para-kula: 他家
para: a. 他の, 彼方の, 上の
kula: n. [kul-a] 家, 良家, 族姓
√kul(a); 蓄積する, 親族となる
-a: 名詞・形容詞を形成する*2
gantvā: gacchati の ger.*3
gacchati: [√gam(u)]*4 行く
bhutvāna: bhuñjati の ger.*5
bhuñjati: [√bhuj(a)]*6 食べる, 享受す, 受用する
suci-bhojanaṃ: suci-bhojana の acc. sg.
suci-bhojana: 浄食
suci: a. n. [suc-i] 浄き, 清浄の, 清浄
√suc(a): [Sk. śuc] 清浄
-i: 名詞・形容詞を形成する*7
bhojana: n. [bhuj*8-ana] 食物, 食, 飲食
√bhuj(a): 食べる, 享受する, 楽しむ, 所有する
-ana: 名詞・形容詞を形成する*9
āgataṃ: āgata の acc. sg. m.
āgata: a. [āgacchati の pp.]*10 来れる
āgacchati: [ā-gacchati] 来る, 近づく, 帰る
ā-: pref. 語根の意味を逆転させる*11
na: adv. なし
paṭipūjeti: [paṭi-pūjeti] 尊敬する, 敬意を払う
paṭi-: pref. prep. 反対に, 戻して, 逆方向に, 戻って, 返して, 向かって, 近くに*12
pūjeti: [√pūj(a)]*13 供養す, 尊敬す, 崇拝す
taṃ: ta の nom. sg. n.*14
ta: pron. それ
jaññā: jānāti の opt.
jānāti: [√jā]*15 知る
vasalo: vasala の nom. sg.
vasala: m. 賎民; 売女
iti: indecl. かく, ~と, とて
129.
Yo brāhmaṇaṃ vā samaṇaṃ vā aññaṃ vāpi vaṇibbakaṃ
所の者 婆羅門を 或は 沙門を 或は 他を 或は/亦 乞食者を
musā-vādena vañceti, taṃ jaññā vasalo iti.
虚言を以て 欺く 其は 知るべし 賤民 と
(或ひはバラモンを、或ひは沙門を、或ひはまた他の乞食者を虚言を以て欺く者。そは賤民なりと知るべし。)
バラモンまたは〈道の人〉、または他の〈もの乞う人〉を嘘をついてだます人、──かれを賤しい人であると知れ。
brāhmaṇaṃ: brāhmaṇa の acc. sg.
brāhmaṇa: m. 婆羅門, 婆羅門族
vā: adv. conj. または, 或は
samaṇaṃ: samaṇa の acc. sg.
samaṇa: m. [sam-ana] 沙門
√sam(u): [Sk. śram] 勤息
-ana: 名詞・形容詞を形成する*16
aññaṃ: añña の acc. sg.
añña: a. pron. 他の, 異なる, 余他の
vāpi: vā + api*17
api: adv. conj. も, 亦, いえども, けれども, たとい~でも
vaṇibbakaṃ: vaṇibbaka の acc. sg.
vaṇibbaka: m. 乞食者, 旅人, 浮浪者
musā-vādena: musā-vāda の instr. sg. m.
musā-vāda: 妄語, 妄言, 虚誑語
musā: adv. 偽りて, 妄, 虚妄に
vāda: m. [vad*18-a] 説, 語, 論
√vad(a): 説く, 言う, 叫ぶ
vañceti: [vañcati の caus.]*19 だます, いつわる, 欺瞞す
vañcati: [√vañc(a)] 歩き回る
130.
Yo brāhmaṇaṃ vā samaṇaṃ vā bhatta-kāle upaṭṭhite
所の者 婆羅門を 或は 沙門を 或は 食時に 供せられたるを
roseti vācā na ca deti, taṃ jaññā vasalo iti.
悩ます 語が 否 又 与ふ 其は 知るべし 賤民 と
(或ひは婆羅門を、或ひは沙門を、食事の時に言葉で悩ませ、供せられたるものを与ふこと無き者。そは賤民なりと知るべし。)
食事のときが来たのに、バラモンまたは〈道の人〉を言葉で罵り食を与えない人、──かれを賤しい人であると知れ。
bhatta-kāle: bhatta-kāla の loc. sg.
bhatta-kāla: 食時
bhatta: n. a. [bhaj の pp.]*20 食, 食事
√bhaj(a): 料理する
kāla: m. 時, 応時, 正時
upaṭṭhite: upaṭṭhita の acc. pl. m.
upaṭṭhita: a. [upaṭṭhāti の pp.]*21 供えられたる, 用意された, 現起せる, 現前せる
upaṭṭhāti: [upa-thā*22] 現われる, 起る
upa-: pref. ~に, ~に向かって, 近くに, ~と一緒に, ~のそばで, ~のように, ~まで, (apa と逆に)下に, 少なく*23
√thā: [Sk. sthā] 立つ, 立ち止まる, 存在する, ある状態でいる
roseti: [rus*24 の caus.]*25 怒らせる, 悩害す
√rus(a): [Sk. ruṣ] 害す, 悩ませる, いらだたせる, 怒らせる
vācā: f. [vac*26-ā] 語, 言 nom. sg.
√vac(a): 言う, 話す
-ā: 女性名詞を形成する*27
ca: conj. と, そして, また
deti: =dadāti*28
dadāti: [√dā]*29 与える, 施す